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    いぬねこぐらし|國森由美子のキャッツアイ通信「世のねこ」

    この連載では、「世の中」の諸地域の猫事情をご紹介! 猫や動物が大好きな方、猫と暮らしている方はぜひご覧ください。
    筆者と愛猫ミルテのオランダねこ暮らしも毎月お届けします♪

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    ぼくらのシンタクラースプレゼント

    「世のねこ」クリスマススペシャル ~オランダ猫ミルテのクリスマスストーリー~「ぼくらのシンタクラースプレゼント」

    あのころ、ぼくにはまだ兄弟がいた。いつでもどこでも一緒のぼくらだった…

    小さかったぼくら。2004年10月撮影

    オランダのいなかの農家で生まれたぼくらが、かなり離れたライデンという町で暮らすようになって数ヶ月が過ぎていた。
    新しい家では、長年大学の日本語教師をしているご主人とその奥さん、それにティーンエイジャーの少年という、日本人3人家族にかわいがられ、
    それは幸福な毎日だった。
    奥さんは、自分がもう着なくなった草色のセーターと、お里のママが持たせてくれた故郷のにおいのするタオルを四角い籐かごに敷き、ぼくらのベッドを作ってくれた。

    11月に入ると、奥さんはこんな話をしてくれた……

    ── 今年ももうすぐ聖(シント)ニコラース祭。
    聖ニコラースさま、つまりシンタクラースがやってくる。
    オランダでは、この祭の方に一足早くクリスマスの雰囲気が漂い、国じゅうがお祝い気分に満ちる。
    シンタクラースは遠い昔(現)トルコのミラに生まれ、子どもや学徒、未婚の女の子、船乗りの守護聖人だと伝えられている。
    毎年11月なかばに、スペインから黒人ムーア人のお供をおおぜい連れて蒸気船でオランダの港に上陸、12月5日のプレゼントの晩まで「シンタクラースの家」に逗留して国内各地を訪問する。
    黒人のお供はなぜかみな「ピート」という名で、昔ながらのハーブ入りボーロみたいなお菓子を道々まき散らしたり、悪ふざけをしたりしながら、シンタクラースの手伝いをして歩く。

    シンタクラースは大きな閻魔(えんま)帳のような書物を持っていて、そこにはこの一年の子どもたちの行いがすべて記されている。
    だから、ご一行上陸から本命プレゼントの日まで、子どもたちはいっしょうけんめい「いい子」にしている ──

    「キミたちも=^x^= いい子(猫)=^x^= にしてれば、12月5日の晩、プレゼントをもらえるかも?」

    へえ、そんなお祭りがあったんだ?
    なるほど、11月中旬になると、3人家族が毎晩8時に見る大人のニュース(日本でいえばNHKニュースに当たるのだそうだ)で、シンタクラースご一行初上陸のようすが報道された。

    その数日前からは、ご一行の毎日をレポートする期間限定子ども向け特別番組「シンタクラースジャーナル」も始まり、子どもたちはこの日を心待ちにしていた。
    ご一行が初上陸する港は年ごとに決まっている。
    当日は市長さんも子どもたちと一緒に出迎えて、盛大な歓迎パレードが行われる。
    こうして、今年もオランダの国じゅう、もろびとこぞりて「シンタクラース」ごっこがくりひろげられる。
    そこにはオランダ独特のさまざまな手作りの遊びがあり、大人も子どもも楽しそうだ。

    12月5日の「本番」前、子どもたちはシンタクラースへの手紙と「ウィッシュリスト」をしたためる。
    また、靴にシンタクラースの馬へのニンジンを入れ、家のどこかに置く。そして、シンタクラースを讃える歌を歌い、眠りにつく。
    真夜中、ニンジンを回収に来たシンタクラースとピートたちは、そのお礼として、お菓子や果物、小さなおもちゃなどのちょっとしたプレゼントを入れていく。
    これはたいがい、週末のお楽しみイベントで、その週どの子が「いい子」だったかは、あくる朝判明する。

    5日の晩のシンタクラースとピートたちは大忙し。
    玄関の前に本命プレゼントを「どすん!」と置き、戸を「どんどん!」と叩く。
    扉をあけると、そこにはもう、誰の姿もない。
    子どもたちは冬至直前の真っ暗闇に向かって「ありがとう、シンタクラース!」と大声で叫ぶ…というのが、いわゆる一つの定番シナリオ。

    「ご一行、きょうはショッピングセンターに来てたわよ」などと話してくれる奥さんと過ごすうち、ぼくらにとって生まれて初めてのシンタクラースプレゼントの日がやってきた。

    夕食後、いつものように遊んでいると、いきなり「どんどん!」と玄関の戸を叩く音がする。
    奥さんとぼくらは急いで扉を開ける…あっ!ほんとうにプレゼントが置いてある。
    誰もいない闇に向かい、ぼくらは大声でお礼を言う「にゃんにゃん!」

    プレゼントの包みを開ける。
    新しいベッドだ。足あと模様のベッドだ。
    うれしいね、うれしいね。ちょっと入ってみようか。
    うーん、広いなあ。これならぼくら、もっと大きくなっても一緒に眠れるね。
    やわらかくて、あたたかくて、気持ちいい。
    ねえ、明日、シンタクラースが帰る時、悪い子はスペインに連れて行かれるという話だけど、
    悪い猫もやっぱり連れて行かれるのかなあ?

    ぼくら、また来年まで、いい子にしてようねぇ…

    ちなみに、オランダのクリスマスの過ごし方は、家族や親戚で一緒に食事をしたり、クリスチャンなら真夜中のミサへ出かけたりと、どちらかといえば静かで和やかです。
    今年も大変お世話になり、ありがとうございました。 どうぞよき年の瀬をお過ごしください。

    今月のミルテ「福島へお届けするシンタクラースプレゼントの箱づめ中でした。」

    「帰ってくるまで箱に住んどく(イヤミ)」

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